国税の組織とそのこぼれ話(2)

国税の「系統」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。具体的には法人税系統(法人税出身)、所得税系統(所得税出身)、資産税系統(資産税出身)、間税系統(間税出身)、管理徴収系統(管理徴収系統出身)と大別して5つに分かれます。局の調査部、査察部、総務部等は、これら5系統の人達の混合ということになります。

国税職員として採用された時に、これらのいずれかに配属となり、(あまり個人的希望は入れてもらえない)退職するまでその系統の業務に携わります。その背番号(どの系統かということ)は退職するまで変わりません。ですから、一時的に、所得税系統の人が法人税系統のポストに就くこともありますが、原則として元の系統に戻ります。したがって、その人の若い時の職員録を見ると、どの系統か分かります。

さて、ここで面白い話をひとつ。それは、各系統によって、ほぼ共通した性格があるということです。『法人の旦那、所得のやんちゃ(関西弁で元気のいい暴れん坊という意味)間税のお代官』という言葉があります。法人税系統は、相手をする法人も社員が10人以上で、帳簿もほぼ完備しているケースが多く、いきおい帳簿調査から入るので当局側も紳士的な雰囲気だということです。一方、所得税系統は、一般的に対象者も家内事業で、2〜3人の家族従業員を中心に帳簿もなく、かなり庶民的な方々を対象とするもので当局側も、良く言えば臨機応変、悪く言えば荒削りといった印象です。さらに間税系統は、江戸時代の代官のように、脱税に対し大変厳いという感じを企業に与えています。以前の酒税、物品税(貴金属、時計等の高額品の物品に課税)にも代表されるように、これを脱税すると国税犯罪取締法に触れ、罰金はもとより身柄の拘束も日常茶飯事だったからでしょう。また、業者に与える許可も国税当局が握っていたことも影響していると思われます。資産税系統は、相続税、贈与税、譲渡税など大口資産家を相手にするので、おっとりした雰囲気があります。管理徴収系統は、課税額の徴収ですので銀行の融資担当といった感じがあります。 このように国税と一口に言っても、色々な性格や雰囲気があることが、お分かりいただけたと思います。

 尚、これらは、そのような風土が各系統に存在することを述べたもので各個人の性格を述べているのではないことをご理解下さい。

(1)   ページトップへ  (3)