国税の組織とそのこぼれ話【業種編】(3)

今回は、「料飲業」です。

代表として「スナック・クラブ業」を取り上げてみましょう。

最近でこそ銀座・六本木界隈も少々閑散としていますが、バブル時はそれこそ飛ぶ鳥を落とす勢いでたくさんのお客さんが闊歩していました。このようなお店の調査はどのように行うのでしょうか?

まず、基本になるのは現金商売(一部クレジット等の取引もありますが、これらは銀行振込になりますので比較的チェックは簡単です。)ですので、現況時の簿外現金等の把握です。

つまり、現況時の現金総額を把握し、簿外の現金・預金がないかどうか確認します。もちろん簿外帳簿(いわゆる二重帳簿)等が発見できればそれで勝負の90%位はついてしまいます。ですから、場合によっては何日も前から観察することもありますし、事前に内定調査(一般客を装って店の状況、例えばレジの状況、伝票の有無、誰が金の取りまとめをしているか、単価、客の客層、混み具合、規模等を把握すること)を実施します。

これらが正しいとします。次に検討するのは酒の仕入額と売上額との関係です。店の状況にもよりますが、ほぼ酒の仕入額の10倍が売上額に相当します。いわゆる水商売(水を売って商売するように儲けがいいということ。あるいは儲かるかどうかは水物という説もあります)と言われる所以です。

この比率が5倍だとしましょう。この時は売上が漏れていると見て間違いありません。特定の日か、月に異常が見られればその時の事情を聞くことになります。誰か家族が入院し急に現金が必要になったのかもしれませんし、従業員が逃亡しその時売上金を持ち逃げしたのかもしれません。この業種は結構従業員不正の多い業種であり、元々そのように金にだらしがないけれども客を引きつける女の子に、解決金として貸付し働かせることは良くあるようです。したがって、売上金がそのような貸付金に化けてしまっていて、売上の割に現金がないということも良くあります。例えは悪いですが、ゼネコンにどんどん金を貸して不良債権の山に苦しんでいる大手都市銀行のようです。

逆に、20倍くらいあるとしますと、このケースは正常という見方ではなく、仕入れがどこか抜けているケース多いのです。

ここまできますと、後は従業員の人件費です。特に既に辞めているにもかかわらずずっと人件費を払い続けているように見せかけるケース。アルバイトの人数を水増ししているケース。親族を従業員にしているが従事していないケース等です。

後は、食費、光熱費、接待交際費の私的部分を経費に混入させていることはよくあります。また、海外旅行、ブランド品、高級外車等個人的費用の付け込みもよく見られるケースです。ただ、全く個人的かどうかは議論すべき所があります。

これらのお店は流行廃りが激しく、好況な時期、町自体が反映している時期に集中して調査になることが多いようです。


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